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フォーラムのコメント

情動性OEとのつきあい方について
In 特性あれこれ
学びの個性尊重プロジェクト
2022年1月18日
ギフテッドの判定が可能な場所が日本にはあまりないので、例えばWISCの結果を参考にし、ギフテッドである可能性を考慮することも1つの方法です。 ただ、ギフテッドであっても、そうでなかったとしても、お子さんには繊細だったり過敏だったりする部分があると考えられますので、その場合の対応を取っていく必要があるように思います。 多くのお子さんを拝見してきた経験から、 対応の一例を考えてみました。 ① 暴れてしまう程受け入れにくいことは、今現在はできるだけ避けて、別の方法を取るなどしていく必要があります。 成長に伴って受け入れられるようになることも多いので、長い目で見て、待って上げても大丈夫だと思います。 ② 普段の生活の中で少しの我慢を伴う活動を組み入れて、苦手なことも受け入れることの出来るキャパシティをゆっくりゆっくり広げていきます。 お茶碗を運ぶといったようなお手伝いや順番を待つといった簡単なことも、子どもの成長を促すように思います。 ③ だんだん理解力がついてくれば、今以上に物事の必要性の理解が深まるので、キャパシティもどんどん広がっていきます。 ④ 将来に、少し苦手で辛いと感じることにもチャレンジしたり受け入れたり出来る素地を子どもの中に育てるためには、子どもの自己肯定感を育てることや心の安定をはかることが肝要です。 必要性のあることや、やらなければいけないことに、「自分なら頑張れる!少しだけ我慢してみよう!」という気持ちを持つことができるようになるために、自己肯定感や心の安定はとても大切な要素だと考えます。 roboママ(特性のある子どもの母・元中学校・特別支援学校教員)
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ギフテッドとHSCは別のものですか?
In 特性あれこれ
学びの個性尊重プロジェクト
2021年12月15日
ギフテッドとHSCの関係については、いろいろな考え方があるようです。 ギフテッドは、心理学的または教育学的なアプローチから研究されており、HSCは心理学分野の概念だと思います。 いずれも、(今のところ)医学的な概念ではないことは共通しているかと思います。 ギフテッドの特性の一つOE(過度激動・過興奮性・超活動性)とHS(highly sensitive)は大変似通った様子を示すことが多いようです。 賛同者の方のコメントを紹介させていただきます。 【知久麻衣氏】 HSC/HSPを提唱(?)されたアーロン博士ご自身のWebサイトによりますと、アーロン博士ご自身は2004年現在「HSCは必ずしもギフテッドではない」と考えておられるようです。 なぜなら、繊細/過敏ではないギフテッドの人々をアーロン博士は幾人もご存知だからだそうです。 アーロン博士ご自身は、ギフテッドは少なくとも早熟で、創造的で、情熱分野への "のめりこみ" が凄まじいという特徴を生まれながら示すというエレン・ウィナー博士の定義がお好きだそうです。 非同期発達やOEこそがギフテッドだと唱えられているリンダ・シルバーマン博士のカンファレンスに招待されたとき、アーロン博士は、シルバーマン博士が「繊細であることはギフテッドであることと同じ」だと考えられていることに気づいた、と書かれています。 アーロン博士がhighly sensitivitiesをリサーチした当時、当然ながらOEにも目を通され、OEとアーロン博士のHSは非常に似ていることは認められています。 「もしOEを持つことがギフテッドであると考えるのであれば、HSC/HSPは間違いなくギフテッドでしょう。両者は同じコンセプトだからです。ご自身がギフテッドであるかどうかで悩まれている繊細な方は、ぜひギフテッドの定義を調べてみてください。その結果、あなた自身がHSC/HSP=ギフテッドと考えることでうまくいくのなら、私はそうすることに大賛成です。」 とWebサイトに記されています。 アーロン博士がギフテッドに言及されているご自身のwebサイトのリンクはこちら → https://hsperson.com/is-sensitivity-the-same-as-being-gifted/     知久麻衣(コネチカット大学大学院教育心理学学修中・SEM&GT教育コンサルタント) 【roboママさん】 ギフテッドとHSCは別々のものだと思います。 HSCの場合、一つの仮説ですが、脳のタイプとして、たとえばセロトニンが分泌しにくくて不安を抱きやすいといったことがあって繊細な状態にあるのに対して、ギフテッドはOEの一種として繊細な状態にあると考えられ、同じ状態でも由来が異なるのではないかと考えています。 神経伝達物質などが関係しているとしたら、HSCはあらゆる知能のタイプの人に見られる可能性があると思います。 そして、感情性OEが強くて更にHSCのギフテッドの場合は、より繊細で不安が強いといった状態になる場合があると思います。              roboママ(特性のある子どもの母・元中学校・特別支援学校教員) 「ギフテッド」の定義も明確でない(この言葉を使う人によって意味合いが異なる)うえに、HSCの概念や原因なども、まだ明確には整理されていないので、「同じかどうか」を考えることは、とても難しいことと言えるかもしれません。 どの「ラベル」が一番合っているかという発想で、個人を捉えることの「無理」もあるかと思います。 個人が持つ様々な特性の一つとして、捉えていくのがいいのだろうと考えます。 HSは、不登校や社会での生きづらさの要因に大きく関係しているように言われることも多く、それに目をつけたある種の「商法」も最近見られるようです。 なるべく学術的に担保された情報を目にし、冷静に判断していくのがよいだろうと考えます。 HSC・HSPについては、 Japan Sensitivity Research ー心理学者によるHSP情報サイト https://www.japansensitivityresearch.com/ も参考になると思います。
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才能伸長教育やSEMのことが書いてある本はありますか?
In おすすめの本
学びの個性尊重プロジェクト
2021年8月09日
先にご紹介した、 「本当の『才能』見つけて育てよう 子どもをダメにする英才教育」 「ワードマップ 認知的個性―違いが活きる学びと支援」 では、物足りないなという方は、こちらをどうぞ。 「才能教育・2E教育概論―ギフテッドの発達多様性を活かす」 松村暢隆著https://www.amazon.co.jp/dp/4798917044/ref=cm_sw_r_tw_dp_TG53ME8AFVSH9VS0WNWG? 「才能」の定義についての考察、「才能児」のニーズ、主にアメリカの「才能教育」について、詳しく知ることができます。 また、「才能」と「障害」(とされる特性)、その両方のニーズに応える2E教育の理念と実践についても書かれています。 “何らかの才能はあるが、隠れていて、あるいは表れても適切に対応されず困っている子どもたちに、日本の教育では何をすべきなのか、なにができるのか”(はじめにより) を考えることのできる1冊です。 *こんなかたにおすすめ* ・「才能」「才能児(ギフテッド)」「才能教育」の定義について、整理したい方 ・SEMが生まれた背景やSEMについて知りたい方 ・「得意・興味(才能)を伸ばし、活かして苦手(障碍)を補う」2E教育について知りたい方 こちらの本では、GDF「不協和感のある才能児者(the gifted with discordant feelings)」という概念についての説明もあります。 才能児が持ちやすい「OE(超活動性・過興奮性・過度激動)のため、不適合な環境には馴染めず、社会情緒的な問題を持ってしまう才能児について、鳴門教育大学大学院の水野晶葉さんが、概念化されました。 GDFにも、2E教育の理念は有効だと考えられるようです。 (GDFについては、「2E教育の理解と実践: 発達障害児の才能を活かす」に水野さんの論文が掲載されています。)
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「隠れディスレクシア」とはなんですか?
In 特性あれこれ
学びの個性尊重プロジェクト
2021年8月09日
まず、ディスレクシアというのは、音韻処理や音と文字のつながりがスムーズではなく、文字や文を読むことにつまずきや困難があることを言います。 読むことが難しいことから、書くことにも困難を持つ場合がありますが、読むことだけに困難がある人も多いようです。 全く読めないということはむしろ少なく、 ・読みがたどたどしい ・読むことに時間がかかる ・言葉の入れ替えや語尾の取り違えなどの読み間違いが多い ・読めるが非常に疲れる などが特徴的です。 視機能(視力、眼球運動、色覚)は、直接的な原因ではないようですが、視覚的な認知機能は関係しているようです。 視覚情報(聴覚情報もですが)の処理には、脳のいろんな部位が関係しており、経路も単純ではないので、これから解明されてくることもあるだろうと思います。 さて、「隠れディスレクシア」とは、 “ディスレクシアの読み問題を引き起こす視覚・聴覚的処理能力の欠陥を、高い次元の言語技術で埋め合わせている” 状態のことを言い、ギフテッドの特性がある子に多く見られるそうです。 ギフテッドの特性の有無に関わらず、私たちは文を読むときに、知っている言葉が多いほど、流暢に楽に読むことができます。 小さい子どもの読みがたどたどしいのは、文字情報を処理する能力が発達途上であることも原因ですが、語彙や概念知識が少ないことも理由になります。 卓越した言語能力や推論する力を持っている子は、それらを使って、文章の中の情報を手がかりに文脈を読み取り、難なく文章を読みます。 スラスラ読んでいるので、読めていると周りは(もしかしたら本人も)思いますが、それは、「まるで読んでいるかのように」見えるだけで、実は一言一句を正確に読んでいるわけではない、ということが起こっていることがあるそうです。 文脈を読み取れるなら支障は無いように思いますが、テストの設問文のような短い文では、手がかりになる情報量が少なすぎて、誤読を多発します。 学力テストは、一生涯続く学び全体からすると小さいこと、一時的なものと、私は思いますが、とはいえ、点数の低さは「がんばっても思ったような点数がとれない」と、自己効力感を下げることにつながりますし、よりよい学習環境を求めるために「点数」が必要になることもあると思います。 そう言った意味でも、「隠れディスレクシア」について知っておくことは、その子の学びにおいて気をつけるポイントや適切なサポートに有用かもしれません。 「隠れディスレクシア」は、小学校高学年、あるいは、英語学習が始まった時点で、それに気づくというパターンが多いようです。 これは、支援教育専門士の学修の際に学んだことですが、英語圏では、その言語の難しさから、LDの率が高いそうです。 ここでの難しさとは、音と文字の関係の複雑さのことです。 英語は音と文字の関係が単純ではないうえに、「例外」にあふれています。 ちょっと前のデータでざっくりですが、LDの人数比率は、イタリアでは1〜2%、日本で6〜7%、英語圏で10%以上だそうです。 脳の特性的に、イタリア人はLDになりにくく、英米人はなりやすいというわけではなく、イタリア語は音と文字の関係が単純で、英語は複雑といった理由で、英語圏の方がLDの率が高いのです。 そういう意味で、発達障害は「なにが標準なのか」によって変わる”障害”とも言えますね。 「隠れディスレクシア」についてもっと詳しく知りたい方は、ぜひ、「on dyslexia」のサイトをご覧ください。 「隠れディスレクシア」の記事の元文献は、「2e letters」に掲載された専門性の高い優れた記事のようで、profoundly gifted のためのNPOであるDavidsonにもアーカイブされています。 「隠れディスレクシア」 https://ondyslexia.blogspot.com/2012/03/stealth-dyslexia.html 「ディスレクシアであることの利点」 https://ondyslexia.blogspot.com/2013/03/blog-post_20.html 「ディスレクシアは例外から学ぶ」 https://ondyslexia.blogspot.com/2014/01/blog-post_17.html という記事も、「脳の多様性」という示唆に飛んだ記事だと思います。
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才能伸長教育やSEMのことが書いてある本はありますか?
In おすすめの本
学びの個性尊重プロジェクト
2021年8月05日
SEMについては、研究・開発されたレンズーリ教授がSEMについて書かれた本の訳本「個性と才能をみつける総合学習モデル」(松村暢隆訳) が、そのものずばりですが、学校での実施を想定した専門書となっているのと、現在手に入りにくくなっていますので、家庭の目線にたったもの、また、SEMに限らず、才能伸長や個性化教育についてのワードマップとなるものをまずご紹介します。 (1) 「本当の『才能』見つけて育てよう 子どもをダメにする英才教育」松村暢隆著 https://www.amazon.co.jp/dp/462305179X/ref=cm_sw_r_tw_dp_2P5MCRJA95WAT1624YGZ?_encoding=UTF8&psc=1 MI(多重知能)理論、アメリカの才能教育、拡充プログラムとしてのSEMの説明などが書かれています。 「子どもの才能を伸ばす」とはどういうことか、「才能」の捉え方の見直しができます。 ”親の思い込みで子どもを枠にはめてしまうのではなく、子どもの本当の才能を見つけて、尊重して育みましょう”(まえがきより) そんな願いが込められた本です。 *こんなかたにおすすめ* ・「早期教育」と「才能伸長教育」の違いを知りたい方 ・SEMやMI理論について、ざっくりと知りたい方 ・家庭で才能を育てる方法を知りたい方 (2) 「ワードマップ 認知的個性―違いが活きる学びと支援」松村 暢隆編著 https://www.amazon.co.jp/dp/4788511991/ref=cm_sw_r_tw_dp_ZPQB1CY5FMJD7BC84ND4 「認知的個性」とは、松村先生が考えられた概念です。 認知や発達は、単なる進度の差ではなく、個性ある姿で発達するものと捉え直した包括的な考え方です。 そして、この「認知的個性」を活かすものとして、才能教育、個性化教育、特別支援教育が紹介されています。 その中で、レンズーリ先生の才能の概念やSEMについての説明があります。 ワードマップなので、いろんな用語、概念、また、教育実践が紹介されています。 たくさんの先生方の考え方に触れることができるのも大きな魅力です。 *こんなかたにおすすめ* ・認知的個性について深く知りたい方 ・才能教育、個性化教育の具体例が知りたい方 ・発達障害や検査についても知りたい方
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SEMに興味がありますが、低年齢でもできますか?
In SEMって?
学びの個性尊重プロジェクト
2021年7月08日
SEMでは、RP(Real Problem)を自分で考え出すこと、最後までやり抜く力「タスクコミットメント」が必要とされています。 これは、この2つを持っていないとやる資格がない、スタートラインに立てない、という意味よりは、この2つがあるからこそ、学びの質が高められ、自分の中の「才能」に気づき、花開かすことができる、という意味になります。 そういう意味で「欠かせない要素」なんですね。 低年齢のお子さんだと、まさにまだ発達途上ですから、その子の発達段階に合った「問い」のたてかた、タスクコミットメントの持ち方を、探ってみるといいと思います。 「問い」を立てられるかどうか、タスクコミットメントを持てるかどうかは、まずはやってみないと分からないことです。 やってみると、それぞれのお子さんの「次の課題・目標」「のぼれそうな階段」が見えてくるのではないでしょうか。 SEMに必要とされる、学びを深め広げる「条件」を、どうやったら十分に生かせるか、「学びの個性尊重プロジェクト」では、それを、お子さんの学びを支えるおうちファシリテーターの方と一緒に考えていきます。 低年齢でもSEMはできますか?については、 こちらのブログもご覧ください。 SEM@homeについてのFAQその1 【低年齢でもSEM@homeはできますか?】
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ギフテッドのことがわかる本はありますか?
In おすすめの本
学びの個性尊重プロジェクト
2021年7月06日
今回は、「うちの子のことかも」「クラスのあの子のことかも」とイメージできる本をご紹介。 (1) 「才能はみだしっ子の育て方 」酒井由紀子著 https://www.amazon.co.jp/dp/4074439670/ref=cm_sw_r_tw_dp_8QWH84PJRQEWX8YPPEVS ギフテッドの特性のある子どもの具体像、サポート方法、各国の教育事情が、読みやすい語り口でまとめられています。 「ギフテッドに注目することは、すべての子ども一人ひとりが幸せになることにつながる」 というお考えが根本にあると感じる1冊です。 *こんなかたにおすすめ* ・ギフテッドについてまずはさらっと知りたい方 ・世界のギフテッド教育について知りたい方 (2) 「ギフテッド育児奮闘記 」ギフテッド応援隊 https://www.amazon.co.jp/dp/B08LQ21MN2/ref=cm_sw_r_tw_dp_NBN9W0FBBWZHNBMTG46H 全国規模のギフテッドの親の会である「ギフテッド応援隊」が、会員の寄稿を元に出版した本です。 ギフテッドの特性を持った子どもの子育てのリアルな姿が、すっきりと、でもあたたかみのある文章で書かれています。 あたたかさは、やはり保護者目線というところからきているのでしょう。 *こんなかたにおすすめ* ・わが子に育てにくさを感じている方 ・リアルな姿からギフテッドを理解したい方
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ギフテッドのことがわかる本はありますか?
In おすすめの本
学びの個性尊重プロジェクト
2021年7月04日
まずは、こちらの2冊がおすすめです。 (1) 「ギフティッド その誤診と重複診断: 心理・医療・教育の現場から」 J. T. ウェブ 他著、角谷 詩織 ・ 榊原 洋一 監訳 https://www.amazon.co.jp/dp/476283081X/ref=cm_sw_r_tw_dp_DY08Y7KHE9RJ4KC4ZNP7 専門書に近くはなりますが、大変参考になります。 ギフテッドの特性以外に、発達障害や不安障害などの知見も得られます。 特定の分野だけでなく、幅広く知識を得ることは、知りたいことのよりよい理解につながるでしょう。 *こんなかたにおすすめ* ・ギフテッドについてあまり知らない方 ・ギフテッド?発達障害?とモヤモヤしている方 ・子どもの困り感に寄り添いたい方 (2) 「わが子がギフティッドかもしれないと思ったら: 問題解決と飛躍のための実践的ガイド」 J. T. ウェブ 他著、角谷 詩織 訳 https://www.amazon.co.jp/dp/4393373308/ref=cm_sw_r_tw_dp_JWTK3W6B9ZM27YV68T75?_encoding=UTF8&psc=1 (1)よりも読みやすいと思います。 ギフテッドの特性を持つ子どもを育てるためのヒントが書かれています。 アメリカの子育て文化が背景となっていますから、そのまま全部が日本で当てはまるわけではないでしょうが、行き詰まった時の道標になるでしょう。 *こんなかたにおすすめ* ・ギフテッドのことをある程度知っている保護者 ・特性がある子の子育てに迷いや悩みがある方 ・楽しく豊かな子育てがしたい方 どちらも分厚い本なのですが、いつも手元に置いて、その時々に手にとってみるのがいいと思います。 子育ては、現在進行形ですから。
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環境調整とはどういうものですか?
In 特性あれこれ
学びの個性尊重プロジェクト
2021年6月26日
「環境調整」とは、その人がなにか困難や困りごと、生きづらさなどを抱えている時に、「困ったこと」がそもそも起きにくいように、「環境」を「調整」することをいいます。 心理学の一つである応用行動分析学でよく用いられる考え方ですが、これに限らず、看護や福祉の分野でも、QOLを上げるために行われている手法のようです。 非常に簡単に言えば、個人が環境に合わせるのではなく、環境を個人に合わせていくことを言いますが、ここでいう「環境」とは、物理的に存在する「環境」だけではなく、人と人との関係性、量や内容の加減など、ソフト面も含みます。 ギフテッドを例に挙げますと、「環境調整が肝心です」と言われた時に、ギフテッド用の学校に行く、ということだけが環境調整ではありません。 学校などの「場所」だけではなく、子どもをとりまく状況や条件、働きかけも調整できる「環境」ということになります。 第1回講演会でお話しくださった角谷詩織先生も、 「ものすごく大きなことをしなくてはいけないとか、子どもを変えようとするのではなくて,子どもの不適切(に見える)行動の原因を取り除こうとする努力」 とおっしゃられており、 「日ごろの先生の言葉かけ,ちょっとした工夫」 も、適した環境に調整することになるとお話しくださいました。 例えば、「宿題をやらない」という「困りごと」があるとして、「どうやってやらせようか」と考えるのではなく、宿題の量を減らしたり、内容を考え直したりするといった環境調整の仕方が考えられます。 さらに言えば、「宿題を全員一律に出す」というところから考え直してもいいのだろうと思います。 他の例を考えてみます。 授業中に振り向いておしゃべりがしたくなる生徒がいたとして、どのような環境調整が考えられるでしょう。 よくある方法に、教師のすぐ近くの席にするというものがあります。 教師の目を行き届きやすくし、「振り向く」「おしゃべりをする」行動を抑制しようという意図です。 ですが、それで行動は抑制されず、かえって、「何度も注意する・注意される」という時間を生み出す結果になることもあります。 この例では、この生徒は、前方の右端の席になりました。 この生徒は、教室のみんなが、どんなことを考えているのかに興味も持ち、いつも気になってしまう生徒でした。 右前方から、少し斜めに座ることで、みんなの様子が把握しやすくなり、発言のタイミングを図ることができました。 先生は、すべての発言を抑制するのではなく、ポイントを押さえたいいタイミングでの発言を拾い、クラスの理解深化に活用しました。 環境調整で一番大事なことは、どういうやり方や場所が「環境調整」なのか、と How toの発想で考えるのではなく、子どもの特性やニーズを把握し、本当にその子に合った調整になっているのかどうかをしっかりと見ていくことです。 こうした調整を行うには、学校の先生方と保護者、なにより本人との関係性の構築が必要になってくるでしょう。 これはまた別の問題として考えなくてはいけないのですが、「ちょっとした工夫でいいんだ」と、構えすぎず前向きに捉えてくださる先生方もいると思います。 「環境調整してください」と言うと、「わあ、大変だ」と思われてしまうこともあると思うので、「具体的な困りごとを具体的に解決する工夫を、一緒に考えてください」という相談の仕方がいいのではないかなと思います。
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おうちSEMってなんですか?
In SEMって?
学びの個性尊重プロジェクト
2021年6月20日
おうちSEMとは、SEMの家庭版のことです。 以前はSEM@homeと呼んでいたので、そちらの名前をご覧になったことがある方もいるかもしれませんね。 まず、SEMというのは、「Schoolwide Enrichment Model 」のことで、日本語では「全校拡充モデル」と訳されています。 アメリカ合衆国、コネチカット大学のレンズーリ教授らが開発したカリキュラム・モデルで、当初は、ギフテッドのための才能教育として開発されましたが、現在は、”すべての”子どもの才能伸長教育、インクルーシブ教育として公立校で実践されています。 おうちSEMは、レンズーリ教授のもとでSEMを学んだ知久麻衣氏が考案した、家庭でできるSEMのことです。 正確には「SEMjapan@home」という名称ですが、みなさんに親しんでいただけるよう「おうちSEM」と呼んでいます。 子どもの「好き」から学びをスタートさせ、主体的に学びを追求する学習モデルとなります。 子どもに秘められた才能を見出したり、伸ばしたりすることのできる教育方法でもあります。 AII Aboutにも取り上げられていますので、よかったらお読みください。 コロナ禍、子どもの才能を家庭で伸ばす!ギフテッド教育「SEM」とは? https://allabout.co.jp/gm/gc/483646/ 学びの個性尊重プロジェクトでは、おうちSEMの実践のサポートをさせていただきながら、「学び」でつながることのできる場を作れればと思っています。 「好き」を探したり、「好き」から学びへとつなげる方法をナビゲートした最初のワークショップには、約30名の方にご参加いただきました。 SEMやおうちSEMについてもっと詳しく知りたい方は、こちらの講演動画をご覧いただけると嬉しいです。 「子どもの力、どう伸ばそう? ーすべての子どものための “個別”才能伸長教育を考える」 https://manabinokosei14.peatix.com/
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ホームスクール・ホームエデュケーションについての情報
In オルタナティブ教育
学びの個性尊重プロジェクト
2021年6月20日
きっかけはいわゆる不登校という方、新型コロナの影響などから教育について改めて考えてみたという方、いま、いろいろな理由でホームスクール・ホームエデュケーションへの関心やニーズが高まっているようです。 ホームスクール・ホームエデュケーションについては、こちらのサイトが非常に充実しています。 【ホームスクール&ホームエデュケーション総合情報サイト】 https://peraichi.com/landing_pages/view/hshe ホームスクール&ホームエデュケーション家族会の運営で、 • ホームスクールについての基礎知識、制度、法律 • ホームスクーラーマップなど、日本の情報 • 海外のホームスクーリング情報 • 事例紹介 • 交流の場、コミュニティ、支援団体、学び場の情報 • 教材 • 文献 • 進路情報 など、盛りだくさんの内容です。 ↑でも紹介されていますが、 【NPO法人日本ホームスクール支援協会】 https://homeschool.ne.jp/ は、 “日本でのホームスクール実践者に対する支援および保障、ホームスクールの地位の向上、そして社会的認知の向上を目的とした団体” です。 「ホームスクールとは」というページでは、まずシンプルにホームスクールの定義と各国事情が記載されています。 https://homeschool.ne.jp/hs 「学びのスタイル」というページには、ホームスクールのさまざまなスタイルがコンパクトにまとめられています。 https://homeschool.ne.jp/style
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低学年・初学者・ディスレクシアの英語学習
In 凸凹にあった学び方
学びの個性尊重プロジェクト
2021年6月10日
まずフォニックスとは、 英語の『文字(綴り)と音の関係』やその教授法・学習法 のことです。 英単語には、ある程度のルールがあり、このルールを覚えることで、「全てを丸暗記」ではなく、英語を習得していくことができます。 フォニックスには大きく分けて、 アナリティック・フォニックス シンセティック・フォニックス があります。 アナリティック・フォニックスは、 "知っている単語の中の音を、構成単位に分割して、文字と音の関係"を学びます。 アルファベット順に学び、文字の名前と音を同時に教えます。 例) 「『apple』『ant』に、『A』が入ってるね〜」 という具合に教える。 単語を知らなければ、「??」となる。 シンセティック・フォニックスは、 "構成単位である音(音素)の文字と綴りの関係を学んで、それらを結合して、単語を自分で読み書きする"ことを学びます。 例)「a」「n」「t」それぞれの「音」を学び、それをくっつけて、「ant」と読んでいく。 知らない単語も読めるが、意味はわからないので、意味のフォローは必要。 「学校でフォニックスを取りれています」といった場合、どちらのフォニックスなのかで、アプローチや培えるスキルは全く異なります。 日本ではこれまで、フォニックスというと、前者のアナリティック・フォニックスを指すことが多かったようです。 「フォニックス?覚えることが増えて大変」という経験をされた方は、アナリティック・フォニックスを学ばれたのかもしれません。 世界的には、シンセティック・フォニックスが主流になっています。 イギリスの教育省(文科省のようなところ)は積極的にシンセティック・フォニックスを推奨していて、イギリスの小学校1年生はシンセティック・フォニックスで「読み書き」を学びます。 そう、会話ができても、読み書きが当たり前のようにできるわけはなく、適した指導が必要なのです。 最近日本でも、「フォニックス大事だね」と言われるようになり、いろいろな教材や動画が出ているようですが、フォニックス学習で一番大事なのは、 単に、文字と音の関係を覚えるだけではなく、それを使うということができるか、です。 この点に注意して教材を選ぶのがいいと思います。 シンセティック・フォニックスの教材でおすすめなのは、ジョリーフォニックスです。 先ほどご紹介したイギリス教育省も、ジョリーフォニックスを参考にして指導書を作っています。 ジョリーフォニックス以外にもシンセティック・フォニックスの教材はあるようですので、好みや学び方にあったものを選んでいただくのがいいと思います。 そのうえで、ジョリーフォニックスのおすすめポイントは、シンセティック・フォニックスの肝である、 「学んだ文字と音を使う力・操作する力」が培えるようなプログラムになっている点、また、 「絵を見る、お話を聞く、体を動かす、歌を聞く」など、多感覚を用いた学習方法になっている点です。 この「多感覚を使う」学び方というのが、ディスレクシア傾向を持つ子どもたちにも有効な要素となります。 目で見て理解しやすいのか、耳で聞く方がすっと入ってきやすいのか、動きと一緒に覚えるのか、リズムや旋律が助けになるのか…、人によって得意な認知(情報処理)方法が異なるからです。 ジョリーフォニックスは、これらの感覚を全て取り入れているので、どれが得意か掴みきれていない子どもにも、なにかがヒットするという仕組みになっています。 ディスレクシアの活動の「先生」的存在である、認定NPO法人 EDGE(エッジ)も、ジョリーフォニックスのワークショップを定期的に開催しています。 この回答を書いています上田も、ジョリーフォニックスのトレーナーである山下桂代子先生も、ディスレクシア傾向の子どもたちが、ジョリーフォニックスで英語の読み書きができるようになるさまを間近で見ており、その効果を実感しています。 まずなにより楽しいですから、ぜひお試しいただけたらと思います。 ジョリーフォニックスを学ぶ方法としては、次のようなものがあります。 ①日本語版のテキスト(先生用と生徒用の両方が必要) はじめてのジョリーフォニックス ―ティーチャーズブック― ジョリーラーニング社 https://www.amazon.co.jp/dp/4487810310/ref=cm_sw_r_tw_dp_3NYMXVE0T5VFMV5HTP9B @amazonJPより ②アプリ(まずは無料版から。フルバージョンは料金がかかります。) ↑のテキストと同じような流れで学べますが、英語版のみです。 Jolly Phonics Lessons(iOS版) https://apps.apple.com/jp/app/jolly-phonics-lessons/id1149029299 Jolly Phonics Lessons(Android版) https://play.google.com/store/apps/details?id=com.gilbertjolly.teachphonics.teachers&hl=ja&gl=US ③動画 ジョリーフォニックスを開発したJolly Learning社では、発音の動画やレッスンの紹介の動画は公開していますが、動画だけで学べるプログラムは無いようです。 シンセティック・フォニックスやジョリーフォニックスについて、もっと詳しく知りたい方は、山下桂代子先生のHPをご覧ください。 https://kayokoyamashita.com (参考文献) 山下桂代子ジョリーフォニックス総合トレーニング 2019春、2020春配布資料 山下桂代子先生のホームページ https://kayokoyamashita.com
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ギフテッドの理解がある検査機関について
In 特性あれこれ
学びの個性尊重プロジェクト
2021年3月17日
「ギフテッド」について、単なる高IQというだけでなく、総合的に判断する(できる)機関や専門家はいないというのが、現実だろうと思います。 医師や心理士個人によっては、知識があったり、経験的にそういう目を持っていたりする方もいらっしゃるかもしれませんが、例えばHP等でその旨をアナウンスしているわけではないので、なかなか出会いにくいですよね。 また、高IQというわけではない、創造的なギフテッドの場合は、アメリカでも通常の学校のギフテッドプログラムでは認定されにくい傾向にあるので、ますます難しいですね。 (ですから、すべての子どもが享受できるSEMの存在は意義があると思っています。) 数値がどうだ、であるとか、なにかの診断といった「ラベル」がないと、その子にあった教育的な対応がしてもらえない、という構造に、そもそも無理があるのだろうと思います。 学校の先生方の中には、「特別扱い」や「えこひいき」「ずるい」と言われないようにしながら、個々に対応するにはどうすればいいかと、悩まれている方もいらっしゃるのかもしれません。 そもそも子どもは、一人ひとり違っているのだから、対応も異なっているのが当たり前、という価値観を、保護者も一緒に作っていけたらいいなと思います。
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ギフテッドのことがわかる資料はありますか?
In 特性あれこれ
学びの個性尊重プロジェクト
2021年2月10日
第1回講演会 「かしこいのに発達障害? ―わかってあげたいその子の困難と可能性」 でお話しくださった角谷詩織先生(上越教育大学大学院 学校教育研究科 准教授)から教えていただいた資料です。 CRN(チャイルド・リサーチ・ネット) 「ギフティッド児の誤診を防ぐ:その理解と,適した環境の必要性」 https://www.blog.crn.or.jp/report/02/249.html 春秋社Webマガジン はるとあき 「ギフティッドの居場所をつくる――その理解と受容から」 https://haruaki.shunjusha.co.jp/posts/4155 以下の資料は論文です。 「学校・家庭でのギフティッド児の誤診予防と適切な理解・支援のために―日本語版ギフティッド-アスペルガー症候群,ギフティッド-ADD/ADHDチェックリスト―」 松本・是永(2015) 「ギフテッドの情緒社会面・行動面・感覚面における特別なニーズと対応」 こちらからダウンロードしていただくこともできます。 https://drive.google.com/drive/folders/1BajN_5uN12w4EjpBUdi10581Z9cFPL4W?usp=sharing また、学びの個性尊重プロジェクトの講演動画でも、ギフテッドについての理解を深めていただけると思います。 • 第1回講演会 @アーカイブ 「かしこいのに発達障害? ―わかってあげたいその子の困難と可能性」← 配信終了      講師:角谷詩織先生     • 第2回講演会@オンライン「子どもの力、どう伸ばそう? ーすべての子どものための “個別”才能伸長教育を考える」      講師:知久麻衣さん     https://ouchisem.stores.jp/items/61ae01e2d5ffeb08dc974bad また随時、情報を加えていけたらと思います。
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